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運転資金

どのような事業でも日常的にお金の支払いが発生します。そういった支払いにあてる資金を「運転資金」と呼びます。事業を継続していくのに不可欠な資金で、運転資金が足りなくなると、順調に売上が伸びていても「黒字倒産」という事態もありえます。運転資金はどのようなものか、どのくらいの額を用意すればいいのか、みていきましょう。

運転資金とは

「運転資金」の確保は経営の重要課題です。事業が好調で利益が出ている時でも、その重要性は変わりません。実際のお金の動きに目をやると、経費の支払いと売上の受け取りとの間にタイミングのズレがあります。経費を先に支払い、売上は後で受け取ります。売上が入ってくるまでの間も、事務所の家賃や従業員の給与、光熱費などの支払いが発生します。そういった支払いに対応するために運転資金が必要となります。

運転資金の役割

運転資金が果たす役割は、主に3つあります。ひとつ目は売上の入金と支払いのタイミングのズレを補う役割。仕入代金の支払いは、たいてい月末締めの翌月払いですので、比較的すぐに支払いタイミングがやってきます。ですが、売上金はすぐに入ってくるわけではありません。もし売上金が入ってくるのが3ヶ月後という契約になっているなら、仕入代金の支払いから売上金の入金まで2ヶ月程度のタイミングのズレが生じます。この間も、将来の売上を確保するための仕入れが続きますので、仕入代金は毎月出ていきます。このズレに対応するのが運転資金の役割のひとつです。

次に、在庫購入のための資金という役割があります。順調に売上が伸びれば、売上の伸びにあわせて仕入量も増え、仕入に伴う支払金額も増えていきます。こういった場合の在庫購入資金も、運転資金の役割です。売上の増加はビジネスが順調な証ですが、先にみた通り支払いと売上金の入金の間にタイムラグがあるため、慢性的な資金不足に陥りやすい局面でもあります。卸売業や小売業といった在庫を多く抱える事業ほど、仕入代金の資金繰りが重要になってきます。売上増の場面で資金繰りが苦しいようなら、在庫量が適正かどうかチェックしましょう。商品を仕入れてからどれくらいの期間で販売できたかを「在庫回転期間」といいますが、この期間が長ければ過剰在庫や滞留在庫の存在が疑われます。

3つ目は、事業が軌道に乗るまでの資金としての役割です。起業してすぐに十分な売上があればいいのですが、現実には時間がかかるものです。広告宣伝や口コミを通じて少しずつ認知され、売上も伸びていくのが普通です。起業直後で売上が少なくても家賃や光熱費などの支払いは発生します。この間に用いる資金として運転資金を事業計画に盛り込んでおきます。軌道に乗るまでにかかる期間はそれぞれ異なりますが、月間固定費の3ヶ月分が目安だといわれています。

金融機関の融資審査での運転資金 5つの分類

「運転資金」とひと言でいっても、実際はその用途によっていくつかに分類することができます。金融機関では融資の審査時に、運転資金をその性質から「経常運転資金」、「増加運転資金」、「減少運転資金」、「季節運転資金」、「設備未払金決済運転資金」の5種類に分けています。

「経常運転資金」は、幅広い用途に充当する、ごく通常の運転資金です。買掛金や支払手形の決済、人件費や地代家賃の支払いなど、普段から必要となる資金はこの経常運転資金に分類されます。

「増加運転資金」は、順調に売上が増加している時に必要となる資金です。売上が増えれば仕入代金も増えます。売上が即金で入ってくるならいいのですが、「掛取引」の場合、入金と支払いのタイミングのズレに対応するため、より多額の資金が必要になってきます。業態によっては、水道光熱費や人件費といった経費も増加します。売上債権の回収まで数ヶ月かかる取引なら、運転資金・つなぎ資金が手当てできずに倒産する「黒字倒産」の可能性にも注意を払わなければなりません。

「減少運転資金」は、増加運転資金の逆で、売上が縮小する場面で必要となる資金です。売上が減少しても家賃や人件費といった固定費はすぐには削減できません。必要諸経費の支払い資金が売上減のために不足するような場合、その資金を補てんするものです。早急に売上を回復させるか、経費の削減に取り組まなければなりません。

「季節運転資金」は、特定の季節に必要となる運転資金です。ファッションや一部の食品のように季節性のある商品の一括仕入資金です。年2回の従業員への賞与支払い資金もこれにあたります。

「設備未払金決済運転資金」は、すでに導入済みの工作機械や車両などの設備の支払いにあてる資金です。こういった設備は通常は資金繰りがついてから導入するものですが、なんらかの事情で一部の支払いが未払いになっている場合、設備導入から半年が過ぎると、設備資金ではなく運転資金として扱われます。そのため、設備未払金決済運転資金と呼ばれます。

運転資金の計算方法について

在高方式

手持ちの運転資金がいくらあるかを把握することは必須ですが、それと同時に、運転資金をいくら用意しておけば事業が回るのかを知っておくことも重要です。経常運転資金の額を計算する方法には「在高(ありだか)方式」を用います。

経常運転資金=(受取手形 + 売掛金 + 棚卸資産)−(支払手形 + 買掛金)

現預金を除いた換金可能資産から、将来支払う額を差し引くことで、経常運転資金額が求められます。この数字と同額の現預金が常に運転資金として必要になります。金融機関に融資を申し込む際にも大切な情報となります。

運転資金の目安について

運転資金の必要最低額

開業時には「運転資金」をどのくらい用意しておけば安心でしょうか。事業によって異なりますが、一般に、固定費の3ヶ月分が必要だといわれています。それだけの運転資金があれば、もしも3ヶ月間、売上の入金がなかったとしても耐えられます。創業してすぐに十分な売上があり、利益も伸びていく企業はなかなかありません。しばらくは赤字で、準備した運転資金を減らしながら事業を続けていくことになるでしょう。そのため、創業時には最低でも3ヶ月分の固定費を運転資金として用意するのが目安だといわれています。

開業後6ヶ月から1年で軌道に乗せる

「事業が軌道に乗った」という言い回しをよく耳にします。明確な定義はありませんが、月々の固定費を支払い、借入金の返済もできる売上が確保できた状態のことを指します。創業してすぐに黒字になるのは難しくても、6ヶ月から1年程度で黒字化させて事業を軌道に乗せる事業計画を立てるようにしましょう。これは融資を受ける際にも求められる条件です。

運転資金調達に「リボ・オン」

三井住友トラスト・ローン&ファイナンスの「リボ・オン」は、不動産を担保に資金を借りる「不動産担保ローン」です。融資上限額までなら、カードを使って必要な資金を引き出すことができます。ていねいに事業計画を立てても、想定外のことが起きて資金繰りに苦労することは経営者にはつきものです。ましてや初めて起業する人には、事前に予想のつかないことも少なくありません。そんな時こそ、資金の用途に制限がない「リボ・オン」の柔軟性が役立ちます。運転資金の調達や想定外の支出への備えとしても活用できるビジネスローンが「リボ・オン」です。

まとめ

運転資金は事業にとって血液のようなもの。不足すれば事業の存続にもかかわる事態になりかねません。業務計画を立てる際は、運転資金がどれくらい必要かを見極め、自己資金で足りない分は融資を受けるなどして十分な運転資金を確保し、ビジネスをスタートさせましょう。

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