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不渡り

当座預金の残高不足で手形や小切手が決済できないことを「不渡り」といいます。不渡りを出してしまうと、手形を発行した「振出人」だけでなく、手形を受け取った「受取人」にも、その経営に大きな影響を及ぼすことになります。不渡りにはどのような種類があるのか、不渡りを出すと銀行からどのような処分を受けることになるのか、みていきましょう。

不渡りとは

手形と小切手について

「不渡り」についてみる前に、「手形(約束手形)」と「小切手」がどのようなものか再確認しておきましょう。手形と小切手はどちらも「有価証券」の一種で、主に企業間の取引で支払い手段として用いられています。金額や日付を記入して振り出し、受け取った側は銀行で現金に換えることができます。(手形や小切手に必要な項目を記入し相手に渡すことを「振出(ふりだし)」といいます。振り出す側は「振出人(ふりだしにん)で、受け取る側は「受取人」です」)。受取人が手形・小切手を銀行に持っていくと(支払のための呈示)、銀行は振出人の「当座預金口座」から現金を支払います。このことを「決済」と呼びます。

手形と小切手の大きな違いは、いつから現金化できるかという点にあります。小切手は、原則受け取った直後からすぐに現金化が可能です。それに対して、手形は記載された期日以降でなければ現金化できません。

当座預金とは

個人が日常的に使う銀行口座は「普通預金」ですが、手形や小切手の決済には「当座預金」が用いられます。当座預金とは、企業や個人事業主が業務用に用いる口座のことです。手形・小切手を使うためには当座預金を開設する必要があります。当座預金に預けている現金には普通預金と違って利息はつきませんが、万が一、銀行が破綻するようなことがあっても、全額が保護されるという特徴があります。

不渡りとは

「不渡り」とは、支払期日に手形・小切手が決済できないことをいいます。受取人が手形・小切手を銀行に持っていったにもかかわらず決済できない、それが不渡りです。原因の多くは当座預金の残高不足です。振出人の当座預金に必要な額が入っていなければ、銀行は支払いを行うことができません。振出人の視点からいうと、「不渡りを出す」ことになります。

3種類の不渡り

「不渡り」は原因や内容によって3種類に分けることができます。一般に「不渡り」というと「1号不渡り」を指します。

0号不渡り

記載ミスといった形式上の不備や、不備はなくても呈示期間を経過しているものが、「0号不渡り」に相当します。呈示期間とは、銀行に対して現金化を求めることができる期間のことで、手形なら支払期日とそれにつぐ2日間、小切手であれば振出日の翌日から10日間です。0号不渡りは振出人の信用に影響を及ぼすものではありませんので、いわゆる「不渡り」の扱いは受けません。銀行取引の停止にはなりませんし、「不渡届」の作成も行われません。

1号不渡り

当座預金の残高不足で支払いが行えない時に「1号不渡り」になります。振出人がすでに当座預金を解約しているなどしてその銀行と取引がない場合も1号不渡りです。1号不渡りは振出人の信用に関係するもので、いわゆる「不渡り」はこれに当たります。(1号不渡りを出すとどのような処分を受けるかは、次の項目で解説します)。

2号不渡り

0号と1号に該当しないすべての不渡りが「2号不渡り」に分類されます。偽造・変造された手形、盗難にあった手形、だまされて振り出した手形等がこれに該当します。また、手形を振り出したにもかかわらず商品が納品されていないといった受取人の契約不履行を理由にしたものも、2号不渡りです。この場合、「不渡届」は作成されますが、資金不足が原因の不渡りではありませんので、振出人は「異議申し立て」を行うことで「不渡報告」を実施しないように銀行に求めることが可能です。

不渡届とは

「不渡届」とは、手形や小切手が不渡りになった時に、金融機関が手形交換所に提出する書類です。不渡届の提出は手形交換所規則によって義務付けられています。不渡届を受け取ると、手形交換所は「不渡報告」に掲載し、加盟銀行に通知します。不渡りを出した個人・法人の信用力について注意を喚起し、今後の取引に注意を促すものです。ある銀行で不渡りを出した人が、別の銀行で返すあてのない借入を行うといった事態を防ぐことができます。

不渡りを出してしまった場合

1度目の不渡り

いわゆる「不渡り」に相当する「1号不渡り」を出してしまった場合、1度目の不渡りでは、振出人は「不渡り処分」を受けることになります。不渡り処分を受けたということが「不渡報告」に掲載され、手形交換所の加盟銀行に通知されます。それ以上のペナルティはありませんし、これまで通り当座預金を用いた取引を行うことができますが、実際は信用力が下がるため、新たな借入を行うのが難しくなるといった不利な状況に陥ることが多いとされています。

2度目の不渡り

1度目の不渡りから6ヶ月以内に2度目の不渡りを出してしまうと、銀行取引停止処分を受けます。2年間、当座預金を用いた取引や借入ができなくなります。手形・小切手を用いた取引ができなくなりますし、資金繰りが厳しくなっても銀行から融資を受けることはできません。信用力が大きく低下し、事業を継続することが非常に難しくなり、結果として倒産につながります。「不渡り = 倒産」ではないのですが、2度目の不渡りを出すことは「事実上の倒産」だといわれています。

不渡りが出たとき、受取人にはなにができるか

不渡りを出した会社が発行した手形を保有している会社(受取人)には、どのような対応が可能でしょうか? 手形は不渡りになっても効力を失うわけではありません。銀行から支払いを受けることはできなくなりますが、発行人から直接取り立てることは可能です。とはいっても、発行人に資金がないのですから、回収するのは簡単ではありません。

まとめ

不渡りを1度出したからといって倒産するわけではありませんが、資金繰りに問題のある会社だと取引先に判断されることは避けられないでしょう。そうなると、支払いサイト等の取引条件を不利なものに変更することが求められ、経営がより厳しくなっていくこともあります。不渡りを出さないように、普段から無理のない資金繰りを心がけていくことが大切です。

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