9.

出資

「融資」と「出資」は、どちらも企業に対してお金を出すという点では同じですが、その特徴は大きく異なっています。「融資」は、お金を受け取る側からすると「借入金」ですので、利子を支払い、期日が来れば元本も返済しなければなりません。ですが、「出資」であれば、返済の必要はなく、利子の支払いも不要です。その代わり、出資者に対して配当金の支払いが発生し、議決権も渡すことになります。株式会社を例に、そのメリットとデメリットをみていきましょう。

出資とは

「出資」とは、投資家等が企業に対して資金・資本としてお金を出すことです。出資したお金はその企業のものになりますので、融資とは違い、企業は出資者にお金を返す義務はありません。出資者は、事業の成功や企業の成長を期待してお金を出します。出資は株式の購入という形態を取ることが多く、出資者は株主になります。企業が利益を上げれば出資者は配当金などのリターンを得ることができますし、株式をより高い値段で他の投資家に売却することもできます。

出資を受けるメリット

原則的に返済不要

企業側からすると、出資を受けたお金は返済する必要がありません。利子の支払いもありませんので、融資に比べて、資金繰り面で有利です。もしも出資者から返還を求められたとしても、出資金の返還が認められる条件は「株主と会社との間に合意がある場合」など「会社法」によって定められていますので、常に応じなければならないわけではありません。

受領した資金の用途が自由

出資の場合、出資を受けた資金の用途には、原則として制約がありません。設備投資や人材確保といった事業拡大だけでなく、銀行からの融資の返済や社債の償還といった様々な用途に利用可能です。もちろん出資する側は将来のリターンが得られるかを精査してから出資するかどうかを判断しますので、出資金を前向きに活用する計画がないようなら出資を得るのは難しいでしょう。

銀行等からの融資との比較

銀行等から受けた融資であれば、通常は、資金の用途に制約があります。審査を受ける際に事業計画の資料を提出し、資金の利用目的を明確にすることが求められますので、申請した用途以外で資金を用いることはできません。

出資を受けるデメリット

利益の一部を配当金として支払う

「利益配当請求権」といって、株主には利益の一部を配当金として受け取る権利があります。配当金をいくら支払うかは株主総会の決議をもって決められます。配当金額は「1株当たり」の額ですので、株式を多く保有している人ほど多くの配当金を手にすることになります。企業側からすれば、借入金のように利子を支払う必要はないものの、利益の一部から配当金を支払う必要が生じることになります。

借入金なら元本を完済すれば利子の支払いも終わりますが、配当金の支払いは株式を保有する人がいる限り継続します。これは融資と出資との大きな違いです。デメリットというよりも、資金調達コストと捉えるのがいいでしょう。

議決権を持つ株主が経営に関与

株主には保有する株式数の割合に応じて議決権が与えられます。株式会社は重要な意思決定を株主総会の場で行いますが、この際、意見が一致しない場合は多数決を採ります。もし経営者よりも多数の株式を持つ投資家がいれば、経営上の実権をその人が握ることになりかねません。経営者と株主の間で経営方針が違っている場合、経営に制約が生じることもありえます。

このような事態を避けるには、過半数である51%以上の株式を経営者が保有し続けることが必要です。また、投資家に対して発行する株式を、議決権を行使できる事項に制限を設けた「議決権制限株式」にする方法もあります。議決権を一切行使できない「無議決権株式」もあります。

株主総会の開催コストが上昇

「株主総会」は株式会社の最高意思決定機関です。小規模な会社であっても株式会社という形態を取るなら、必ず株主総会を開催し、会社法に定められた決議事項について話し合い、議事録を作成する必要があります。株主が役員のみであれば、普段から意思疎通ができているはずですので、意思決定は早く、株主総会は比較的簡素に進めることができるでしょう。多くの投資家から出資を受けた場合は、それだけ株主が大勢いますので、株主総会の日時と場所を決め、招集通知を送付するといった様々な手続きが必要となり、事務作業等のコストが増大します。

まとめ

融資に比べて出資を受けることには、返済の必要がない、利子がかからない、担保や保証人を必要としないといった多数のメリットがあります。その代わり、利益の一部を配当金として出さなければなりませんし、議決権を用いて経営に関与することもありますし、株主が増えれば株主総会の開催に手間と費用がかかるということもあります。融資と出資、どちらがよい選択かは一概にはいえないでしょう。経営状況や経営スタイル、将来のビジョンなどを考えあわせて、最適な資金調達方法を検討しましょう。

事業資金コラム一覧

リボ・オンのカードローンなら、限度額の範囲内で繰り返しご利用可能! カード発行手数料不要。年会費無料! ご融資額:100万円~2,000万円 お利息:年率8.0%~15.0%

ページTOPにもどる