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資金繰り

事業を継続するために不可欠な「資金」は、人体にとっての血液にたとえられることもあるくらい重要なものです。資金が不足すれば、取引先への支払いができず、新たな仕入れができなくなりますし、従業員への給与支払いも滞り、借入金の返済もできず、倒産という事態もありえます。気を付けなければならないのは、損益計算書の「利益」と、支払いに用いる「資金」は別のものだということ。利益が出ている黒字決算の時でも、資金が不足するリスクはあります。安定した経営を続けていくために、資金状況の把握は不可欠なものなのです。

資金繰りとは

事業を継続していく上で利用可能な「お金」のことを「資金」といいます。手元にある現金と、銀行預金、すぐに現金化できる金融資産がそれにあたります。事業を行う限り、資金は常に増減を繰り返します。売上金が振り込まれればお金は増えますし、経費や給与の支払いを行えばお金は減ります。もしも手元の資金がなくなってしまえば、支払いが行えなくなり、下手すれば倒産となります。そうならないように、お金の出入りを管理し、使える資金がどれだけあるかを把握し、不足するようなら融資を受けるなどして資金を手配すること、これを「資金繰り」と呼びます。「資金繰り」と聞くと、倒産を避けるためにお金の工面に走り回ることをイメージする人もいるかもしれませんが、必ずしもネガティブな意味合いの言葉ではありません。

資金と利益の違い

自社の資金状況を把握するには、「損益計算書」や「貸借対照表」を作成するだけでは不十分です。なぜなら、損益計算書の「利益」と、使うことのできる「資金」とは一致していないからです。「資金」とは、先にみた通り、すぐに支払いにあてられる現金同等物のことです。「利益」は、あくまで会計上の数値であって、手元に現金があるかどうかとは関係がありません。

資金と利益が一致しない理由

資金と利益が一致しない理由のひとつに「掛取引」が挙げられます。例えば、5月に商品を納め100万円の売上があっても、現金が振り込まれるのは7月末になるという取引のことです。売上が立つタイミングと、実際に入金があるタイミングとにズレがあるのが掛取引です。また、高額な設備や機械を購入した場合、現金一括で支払っても、複数年に分割して計上する「減価償却」も、資金と利益が一致しない理由になっています。

資金繰り表の作り方

資金繰り表の作り方

資金状態を把握するには「資金繰り表」を作成し、定期的に更新することが必要です。資金繰り表の作成は法律で義務付けられているわけではありませんので、用意していない事業者も少なくありません。ですが、やはり突然の資金不足を避けるためにも、資金繰り表を作成し定期的に更新した方がいいでしょう。資金繰り表がどのようなものかは、インターネットで検索すれば様々なサンプルを見つけることができます。無料で手に入るテンプレート(ひな形)もありますので、参考にするといいでしょう。市販の会計ソフトやクラウド会計サービスの中には資金繰り表の作成ができるものもありますので、活用するのもひとつの方法です。

資金繰りを改善する方法

キャッシュインを早くし、キャッシュアウトを遅くする

資金繰りを改善するには様々な方法があります。まず、考え方としてもっとも重要なのは、「キャッシュインを早くし、キャッシュアウトを遅くする」ということです。現金が入ってくるタイミングをできるだけ早め、出ていくのをできるだけ遅くすることが、資金繰り改善の基本です。

キャッシュインを早くするには、支払いを受けるタイミングの見直しを行います。取引先が承諾してくれるかどうかは別問題ですが、即時現金払いが理想です。現金ですぐに支払いを受けることができれば、資金繰りが大きく改善します。一般消費者から現金で支払いを受ける飲食店や理髪店のような「現金商売」は、資金繰り面では倒産のリスクが低いといわれているように、すぐに現金が入ってくることには資金繰り面でのメリットが大きいのです。

逆に、支払いタイミングは遅い方が資金繰りについてプラスに働きます。取引先との交渉が必要となりますが、サービスや商品を受領してから支払いまでの期間である「支払いサイト」を可能な限り長くするのがいいでしょう。かといって、一方的に支払い期日を遅らせるのはよくありません。約束の期日までに必ず支払いを行い、信頼を高めていくことで、将来的に有利な条件での取引が可能になります。

注意を要する税金の支払い

税金の支払い

定期的に発生する税金の支払いは、資金繰りに大きな影響のある支出です。法人の場合、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税など、様々な税金を納めなければなりません。社用車を保有していれば自動車関連の税もかかりますし、土地・建物等の資産には固定資産税がかかります。ある程度の規模になれば、専門家に依頼しなければ資金繰りの予測も難しくなってくるでしょう。

法人税

利益が出れば、その額に応じて法人税、法人住民税、法人事業税を納めます。利益額によって変動しますが、およそ利益の30~40%程度になりますので、額として決して小さなものではありません。支払い期日は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内と決められています。3月決算の法人なら、5月31日までとなります。2年目からは中間申告を行わなければならないことも資金繰り面で注意を要します。ただし、前年の法人税納税額が20万円以下なら、中間申告は必要ありません。

消費税

消費税は、商品の販売やサービスの提供等の取引に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付する仕組みになっています。事業者は「消費税を預かっている」立場だと考えればわかりやすいでしょう。ですので、決算が赤字であっても消費税は納めなければなりません。申告・納付は、事業年度終了後2ヶ月以内ですので、時期としては法人税と同じです。中間申告があるのも法人税と同様ですが、前年度の納付額が48万円以下なら中間申告は必要ありません。また、2年前の売上が1000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されます。新しく設立された法人は、基準となる期間が存在しないため、開業1年目と2年目は原則として免税事業者となります。

まとめ

資金繰りにおいて大切なことは、資金の増減を把握して、支払いに用いる資金がなくならないようにすることです。いつ、だれに対して、いくらの支払いが発生するかを把握し、きちんと資金繰りを管理すれば、突然の倒産という事態に陥ることはまずありません。資金調達は、ぎりぎりになってから動いても間に合わないことがあります。資金繰りが厳しい時期をあらかじめ見極め、早めに資金繰り対策を行うことが大切です。

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